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どうかんがえても合理的じゃないのに、争いを辞めれない人たちを見たことありませんか?

 

夏になると、北海道に引っ越そう。

冬になると、沖縄に引っ越そう。

そんな妄想を繰り返している桑原です。

我が思考よ、日本から出ろよ…。

 

 

さて、今日のテーマは「不合理なエスカレーション」です。

 

これはなにかというと、

交渉や争い、ギャンブルなどにおいて

【仮に勝負に勝ったとしても損をする】状態まで

人を追いやってしまう心理のことを言います。

 

つまり

負けても損、勝っても損。

って、損しかないじゃないか!!状態です。

こんな状況になりたいですか??

 

不合理なエスカレーションを説明する実験が面白かったので

今日はそちらをご紹介したいと思います。

(江戸時代にこの方法を知っていたら、大金持ちになれたかも?)

 

 

  これから1万円札のオークションを行います。

  (実際の研究では100ドル札なのですが、日本バージョンでお送りします。)

  オークションに参加する権利を持っている人数は30人。

 

  参加するかどうかは自由です。見ているだけでも構いません。

  500円からスタートして

  500円刻みでコール(現価格が1000円だと1500円で買います!と表明)してもらい

  入札者がいなくなるまで続けます。

 

  最高価格を提示した方は、1万円を提示価格で購入することができます。

 

つまり、9500円以下で落札することができたら、利益が出るわけです。

ただし、このオークションには他にはない特別ルールがあります。(ここがポイント)

 

  入札価格が2番目に高かった人にも、その金額を支払ってもらいます。

 

  例えば、

  運よく9500円であなたが落札したとして、

  僕は2番目の9000円で価格を提示していたとします。

  すると、あなたは9500円で1万円札をゲットし

  私は何も得ることなく9000円を支払います。

 

ちょっとザワザワしてきましたか?(笑)

 

さて、ここでこのオークションの結末を予想してください。

1万円札は、いったい何円でオークション落札されるでしょうか?

 

合理的に考えたら1万円以上で入札する必要がありません。

しかし、人は合理的とは程遠い行動に出てしまうわけです。

 

  オークションをスタートすると最初は入札者の声が活発に飛び交います。

  

  入札額6000円~8000円に吊り上がると、

  上位2名を除いて全員が脱落します。

 

  すると上位2名は緊張し始めます。

  

  例えば

  Aさんは7000円で入札しています。

  Bさんは6500円で入札しています。

  AさんはBさんが7500円で入札しないでくれと祈ります。

  Bさんはこのままで6500円の損をするか、7500円でコールするかの判断を迫られます。

  確実に損をするより良い!と思ってBさんは7500円をコールします。

  

  するとAさんとBさんの立場は逆転し

  Bさんは、Aさんが8000円で入札しないでくれと祈りだし

  Aさんは、確実に損するか、1万円をゲットするかの判断に迫られます。

 

  これを繰り返すわけです。

 

ここまでは、予想がつくと思います。

さぁさぁ楽しくなってきました。

 

  AさんとBさんは自分がコールするたびに祈りを捧げ

  相手がコールするたびに決断を迫れれます。

  室内でその様子を見ている脱落者(すでにゲームを降りた人)たちは

  その様子をワイワイガヤガヤ楽しそうに見守ります。

 

  しかし!

  ここで室内が静まり返ります。

  何が起きたのでしょうか?

 

  そうです。Bさんがついに9500円をコールしたのです。

  

  室内はAさんが1万円をコールするのかいなか、ヒヤヒヤしながら見守ります。

 

  Aさんは9000円損をするぐらいなら、プラスマイナス0でもいいから

  1万円を1万円で買う決心をし、1万円のコールを行います。

 

  室内は湧きあがります!!

  なぜなら、今まさに「1万円札を1万円で買う」というバカげた光景が

  目の前に展開されているからです。

 

さぁ、ここまではまだ合理的な人間のお話。

なぜならAさんは、まだ損はしていないからです。

この続きこそが不合理なエスカレーション。

どうなると思いますか?

 

  湧きあがる室内から、周囲が予想しない声が上がります。

  「10500円!」

  

  そうです。Bさんがコールしたのです。

  さぁここから先は

  「1万円札を1万円以上の金で買う」人間たちのやり取りが始まります。  

 

  Bさんとしては、

  9500円の確実な損よりも、1万円札を1万500円で買っているほうがマシなわけです。

  ただ、周囲からはどう映るか?

 

  「1万円札を1万円以上の金で買う」バカな人間として映ります。

  もちろん室内は笑いで包まれます。

 

  では、Aさんはどうするでしょうか?

  このままでは、1万円を支払う(損)だけで終わってしまいます。

 

戦略的には、1万円のオークションに参加し、最後の二人に残った場合、

脱落するよりも、少しの金額を足すだけで残れるのだから

入札を続ける方が理にかなっています。

 

仮にAさんが30000円入札していて、Bさんが35000円入札した場合であっても

Aさんはこのまま30000円の損をするよりも

31000円で1万円札を購入したほうが、損失は21000円まで減らすことができますから。

理にかなっているでしょ?

 

ただ、この一見すると理にかなっている戦略を取り続けると、

入札額はどえらい価格まで上昇してしまいます。

(実際の研究では10万円に到達したり…。)

 

何度もこの実験を行われた結果、

最終落札額は1万円~10万円の間で決着します。

(1万円で決着することはほぼないが、0ではなかった)

 

 

周りから見たら不合理極まりない

(1万円札を1万円以上で買うなんて)

(続けてたらドンドン値段が吊り上がるから、早く諦めたほうがいいのに)

にもかかわらず、人は行動してしまう。

 

今日はそんな

不合理なエスカレーションについてご紹介いたしました。

いかがだったでしょうか?

 

室内は、

9500円がコールされたら 静まり返り

10000円がコールされたら 湧きあがり

10500円がコールされたら 笑いがおき

20000円を超えたあたりから 人間の狂気に畏れを感じるようになります。

 

 

間違っても

お盆に集まった親せきに対して

実験しないでくださいね。

 

それでは、またノシ